館長挨拶
初代水野敬三郎先生、二代西山厚先生に続いて、半蔵門ミュージアムの三代目の館長に就任いたしました。
半蔵門ミュージアムの展示の中心の一つは、かつての下野国足利荘(現在の栃木県足利市)にあった樺崎寺の像と考えられる大日如来像です。わたしは2003年にこの像にはじめて出会い、翌年、運慶の作と推定する論文を書きました。その後、大日如来像は運慶作品の一つとして著名になり、やがてこの半蔵門ミュージアムに安置されることになりました。わたしは学生時代に、奈良・円成寺の運慶作大日如来像に出会って、仏像に興味をもち、仏像研究の道に進んだのですが、そのわたしが、こうして運慶の大日如来像を擁する美術館にかかわれるのは不思議なご縁というほかありません。
いつでも運慶の仏像を拝み、鑑賞できる唯一の美術館、半蔵門ミュージアムは、ほかにも仏像や仏画、写経や絵巻など、仏教にかかわるすぐれた作品と対面できるところです。小さな美術館ですが、皆様が仏教美術や仏教文化との出会いを体験できる場となるように、職員一同、心をくだいています。皆様のご来館を心から歓迎いたします。
半蔵門ミュージアム館長 山本 勉